光のもとでⅡ

Side 翠葉 02話

 開会式が始まると校長先生の短い言葉があり、そのあとに数々の祝辞が連なることなく選手宣誓が行われる。
 ミーティングで何度か顔を合わせた実行委員長が手を挙げ声を張る姿は、とても勇ましく見えた。
「宣誓っ! 私たち選手一同は、互いを支え、励まし、自分を信じて、一戦一戦を全力でプレーすることを誓います。三年C組貝塚隼人っ」
 そのあと全校生徒によるラジオ体操が行われると、徒競走を始めるべく全校生徒の大移動が始まった。
 徒競走は生徒全員が走るため放送委員の実況中継が入ることもなく、淡々とピストルの音が鳴り響く。
 本部席から見て一番奥のレーンが一年男子。手前へ向けて、一年女子、二年男子、二年女子、三年男子、三年女子。それぞれがタイムなど関係のないクラス順、出席番号順に並び、次々とスタートを切るのだ。
 私はその様を本部席から眺めていた。
 あの人は朝に挨拶をする人。あの人は中央委員会で何度も顔を合わせて話せるようになった人。あの人は食堂にいることが多く、遠くからでも手を振ってくれる人。
 去年に比べると、見知った顔が格段に増えていた。中には顔と名前が一致している人もいるし、友人といえる人もいる。
 クラスや部活、生徒会以外にも知り合いが増えて、それまで以上に視野が開けていくような感覚があった。
 世界が広がる、とはこういうことを言うのだろうか。
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