光のもとでⅡ
 知らずにいたことが悲しくて、寂しくて、だから涙が零れたのだ。
「受験」というものを人がどう捉えるのか――もっと言うなら、ツカサがどう捉えているのかはわからない。
 でも、私にとっては大きな出来事で、入学式や卒業式、それらに匹敵するほど大きな予定で、だからこそ知っていたかったという何か。
 ……「何か」は、「欲求」かな。
 ツカサに対して、「知りたい」と思う認知の欲求――。

 だいぶ感情の整理はできた気がするけれど、これらをどうツカサに説明したらいいのだろう。
 きっと、「受験」というものに対する意識の差が「話す必要がない」「知っていたかった」というすれ違いにつながっている。
 でも、それというのは「価値観の差」でもあるから、話して理解が得られるものでもない。
 言葉の意味として、文章の意味として理解してもらうことができても、共感したり気持ちが動く理解や納得は得られないだろう。
 それは私も同じことだ。
 ツカサの言い分を聞いたうえで「だから、話す必要はないと思った」と言われても、心からの納得はできない気がする。
 それでも、話すことに意味はあるのかな……。
 話したらどんな展開が待っているのだろう。
 これ以上寂しくなるような、悲しくなるような話の展開だけは望まないのだけど……。
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