全部、抱きしめて



そして、空が薄暗くなる頃、花火が始まった。

「うわぁ」
「綺麗」

みんな空を見上げ感嘆な声を上げている。もちろんあたしもその一人。

赤黄緑と鮮やかに空に打ち上がっていく花火。ほんの一瞬の光なのに心に焼きついていく。

やがて空が完全に暗くなり花火の輝きは更に増していく。

誰もが空を見上げ夢中だ。

「綺麗だな」

大瀬良さんが、花火が上がってから初めて口を開いた。

「そうですね」と、答えならがら、大瀬
良さんを見ると目が合って、あたしは肩を抱かれーー

軽く触れるだけのキスをされていた。

周りにいる人たちが見て見ぬしているのを感じた。

大瀬良さんは、何事もなかったかのように空を見上げている。
< 56 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop