全部、抱きしめて
なぜか、あたしには気まずさがあって、今の会話を聞かれていないか不安になる。

「直也、おはよう」

「おはようございます」

長谷部さんにかぶせるように、大瀬良さんに挨拶をした。

「おはよう」

そう言って、大瀬良さんはチラッとあたしを見てどこかへ行ってしまった。

「直也、機嫌悪そうにしてたな。オレに妬いてたりして」

「そんなわけないです」

でも、何となくだけど、あたしも不機嫌なのは感じていた。

だけどそれが嫉妬とは限らない。

「もしかして、2人きりで話したいことって直也のこと?」

コクンと無言で頷く。

「そっか。じゃあ、今日仕事終わったら会社近くのファミレスで待っててよ」

「分かりました」
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