君 が い な い 日 。



入ると誰も居ない。


誰も来ないまま、映画は始まった。



確か、すっごい泣ける映画って言ってたな。






「……ほんと、すごいやぁ。涙が…、とまんないやっ…。」




ふと、彼女が言ってた言葉を思い出した。



『えっとねぇ…ーー恋人同士の男の子と女の子が映画を見ることになったんだけど…。女の子が来る途中、事故に合っちゃって、その後の男の子の生き様を描いた話。』


あんまり興味がなくて、適当に聞いてたけど、何故か覚えている。



『確か題名は……ーー



『君 が い な い日 。』


だったかな。』





君がいない日なんていらない。



叶わない理想なんて抱いて、なんの意味がある?




そうじゃないんだ。




自分と性格も、状況も似ている映画の主人公に、ゆっくり自分を重ねた。



映画の彼は、精一杯生きている。


前を向いて、彼女の分も精一杯生きている。




君の分も生きよう。



叶わない理想もあるかもしれないけど、そればかりじゃない。


叶うも叶わないも、僕次第だから。




長い夢から覚めた様な気がした。





僕の理想。


『また、君に出会うこと。』



叶えたい。


いや、叶えよう。




いつ会えるだろうか。


考えると、楽しみで仕方ない。




『君 が い な い 日 。』



以外と、悪くないかもしれない。


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