【企】初恋アーチ【短】
びっくりして音のした方を見ると、
カメラを構えている男性がひとり。
制服を着ていて、多分生徒なんだと思う。
「あ、すいません、
この作品をとてもキラキラした目で見てくれていたから、
つい嬉しくて」
そうカメラを下ろし、
はにかみながら笑う、その人を見て、
衝撃が走った。
「あ、えっと……あの……」
口がパクパクして
うまく話せない。
「ああ、俺はこの校章のモザイク画を
展示してる写真部の部員です。
この文化祭中は俺ら写真部は
来場者や生徒を撮る様カメラ係を
任されてるんだ」
と腕にかかる『撮影係』と書かれた腕章を見せてくれた。
何この人、
これが高校生の余裕ってやつですか。
なんでこんなに優しい笑顔で笑いかけてくれるんですか。
かっこよすぎる!!
「あ、いたいた、杏莉ー!」
やっとついたらしい
満の声が聞こえた。
私の元まで駆け寄ると、
不思議そうに私たちを交互に見る。
「あっ、俺は写真部のカメラ係です!
変なことしようとしてないよ!」
何故か急に焦りだす、
写真部の人。