【企】初恋アーチ【短】

∟杏莉、中学3年生




――もうー、満―みちる―どこー!


さっき2人で並んで買った

タピオカ入りの飲み物を手にとって、

さあ文化祭を回ろう、

とした時、

廊下を通った出し物のひとつらしい

おみこし?みたいなものに

行く手を阻まれて、

私たちははぐれてしまった。


せっかく来年受験したいって思ってる

この高校を2人で見に来たのに。


すぐ1人きりになっちゃうなんて、

360度知らない人、景色、

他校って本当に緊張するのに

1人はキツいよー!!


そう思って

助けを求めるがごとく


私は携帯を取り出す。


来年、高校受かったらスマホに変えてもらうんだから。

なんていってたこのガラケーだけど、

今だけはもう何でもいいから電波の飛ぶもの、

満と連絡取れるものってことで

手元にあって助かった。


「もしもし満ー!?」

半分涙声で電話をかけると、

満もさっきのおみこしとその周りの人だかりに

流されて、どこか今わからない場所に居るみたい。


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