こっち向いてよ!- 君を絶対振り向かせる-

まあこんな憎まれ口しか叩かないこいつだけど、顔は意外とまともだったりする。


まともっていうか…うん。一般的に言うと、いわゆる " イケメン " ってやつ。


細めでキリッとしてるけどまだどこか幼さを感じさせる茶色に近い大きな瞳。まるで彫ったみたいに筋の通った鼻。パックでもやってるのかっていうぐらいぷるぷるの薄紅色の唇。形の整ったシャープな輪郭。そして生まれつきのサラサラな茶髪は朝日でキラキラ反射して…まるで蛍のいるところだけどこか違う世界…みたいな。


(黙ってれば普通にかっこいいのになあ…)


「……………」


「…さっきから何。騒ぎ始めたと思ったらいきなり静かになるし。俺の顔になんかついてんの。」


「あっ!いっいや何も~?ええ何でもございませんわよ~?」


いけないいけない。つい無意識のうちに顔見つめてた。


「別にどうでもいいけどそろそろ出てってくんない、俺着替えたいんだけど。」



そう言って蛍は私がまだいるにも関わらず、何も気にしてないかのようにTシャツを一気に脱いだ。


「!?待っ、ちょっ、と待って!今!今出るから!!あっ!あんたちゃんと二度寝とかしないで学校来なさいよ!ねえ!分かった!?だからまだ脱ぐなってば!!!」


そこまで言って部屋を飛び出てきた。


だってまさかいきなり脱ぎ始めるとは思わなかった。まだ少し時間はあるんだから私が部屋から出た後でもいいじゃない。おかげで私は見たくもないあいつの半裸を見てしまった。


「…蛍って…あんなに肩幅あったっけ…それにいつからあんなに筋肉なんか……!あっやだ私ってば一体何考えて…!!!…はぁ…なんか朝から疲れた…準備しよう…」


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