天使が舞い降りる。
―『今朝のニュースで、もしかしたら知っているやつもいると思うが、一昨日の夜、西高の生徒が交通事故で亡くなった』
今朝のホームルームでの、担任の言葉を思い出す。
死んだ……奈々子の彼氏と、同じ学校の……
なんで、その生徒が……空から降りてきてんの?
「魔法少女?いや、男だから魔法少年か?」
ってアホかあ!!
非常事態とはいえ、自分のギャグセンスの低さに笑える。
…って、こんなときにギャグなんて言ってる場合じゃないんだけど。
落ち着こう。とりあえず落ち着こう、私。
一度、深く深呼吸し…私は改めて男の子を見た。
女の私でも敵わないような、雪のように綺麗な白い肌…
襟足長めのサラサラな茶色い髪に、伏せられた長いまつげ。
眠っているように、微かに開いている薄い唇。
少し今更な気もするが、気付いた。
空から降ってきている男の子が、世間一般でいう、かなりの美少年だということに…。
なんて、自己分析していたら…
「ひっ…!」
魔法少年…じゃない。男の子はとうとう、私の目の前へと着地した。