ルージュのキスは恋の始まり
 親父が乗っ取られた会社は、1年後には彬のものになったらしい。

 つまり、彬は龍神グループのトップの座が欲しくて、親父をはめたのだ。

 親父は自業自得として、お袋まで死ぬ必要はなかったのに。

 お袋はあんな親父と結婚して幸せだったのだろうか。

「玲王?やっぱり痛むの?」

 美優の声で現実に戻される。

「大丈夫だ。お前が心配する事ない」

 美優は今までの奴みたいに憐れみの目で俺を見るだろうか。

 それとも、涙を流して泣くだろうか。

 俺も過去に苦しめられている。

「そう、なら良かった」

 俺の答えに安心したのか、美優が俺の首に無邪気に腕を巻き付ける。

 素面の時では絶対にあり得ない行動。

 朝起きて、果たして記憶に残っているのだろうか?

 出来ることなら動画でも撮って、後で本人に見せてやりたい。
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