ルージュのキスは恋の始まり
26、宣告 ー 美優side
 こんな気持ちのまま産婦人科を訪れようとは思わなかった。

 内診台に座って医師の診察を待つ。

 カーテン越しに聞こえる医療器具の音と医師と看護婦の話し声。

 全て・・・現実ではないように思える。

「力を抜いて楽にして下さい」

 40代くらいの男性の先生がカーテン越しに私に声をかけた。

 でも、緊張しているせいかどうしても身体に力が入る。

 先生が内診をした後、身体の中に何か棒状の器具を入れられ子宮内を確認された。

 カーテンを先生がめくり、モニターのような画面が現れ自分の子宮内の画像が目に入ってきた。

 子宮内に丸くて小さな卵のようなものが見える。

 それが、ピクピク動いていた。

「妊娠してますよ。おめでとうございます」
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