ルージュのキスは恋の始まり
 そして、ここからが本番。

 スタッフがハンディカメラ片手にOKサインを出した。

 俺がゆっくり百合ちゃんに近づく。

 セミロングの髪を軽くカールさせて、深紅の短いワンピを着ている彼女はとても可愛かった。

 彼女自身がラッピングされているクリスマスプレゼントみたいだ。

 その唇にはルージュが光ってる。

 俺はジャケットのポケットに入れていた箱から指輪を取り出すと、眠り姫のように眠っている彼女の指にはめた。

 それから、百合ちゃんの唇を親指で軽くなぞり甘く口付ける。

 彼女の口から吐息がもれた。

 すっかり女の表情だ。

 そして、彼女がゆっくりと目を開ける。

「大河さん・・・・」

 百合ちゃんはまだ夢現なのかボーッとしている。
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