ルージュのキスは恋の始まり
「・・・寝やがった。何なんだこの女。警戒心が強いと思えば・・わけわからん」

 龍神社長の私への悪態は、幸いなことに聞こえない。

 でも、彼が初めて自分の前で狼狽えた姿を見逃したのは、一生の不覚だったかもしれない。

「どうすんだこれ?おい、片岡、逃げるな!」
 
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