いつだってそこには君がいた。


クラスメイトからは控えめな拍手がわき起こる。なんでこうなった?



「え、いいの?優梨ちゃん、あんなに嫌がってたのに」


「いや……」



雪菜ちゃんの小いさな問いかけに、顔をしかめて斜めに傾ける。


全然良くない。
けれど、断る勇気が私にはなかっただけのこと。


去年一年間今までいなかった友だちと過ごして変われたのかなって思っていたのに、少しも変われていなかったことを実感する。


私やっぱり意気地なしだ。



「残るは男子だけだが……おっ、やってくれるのか?」



先生の嬉しそうな声が教室に響く。その言葉のあとにクラスメイトからは「おお!」と驚きの声があがった。


私も力なくみんなの視線の先を見ると、すっと真っ直ぐに手をあげている男の子がひとりいた。


大きく目を見開く。



「俺、やります」



低く、聞き慣れたそれは、結城くんのものだった。切れ長の目が私を捉える。
私の時とは違って大きくされる拍手喝采。彼はその目を伏せて頬杖をついた。


私は前に向き直して、ホームルームが終わるのを素直に待った。


なんで結城くん、立候補してくれたの?まさか、私の、ため……じゃないよね?



「じゃあ今日から号令は始まりが女子の学級委員、終わりが男子の学級委員よろしく」



先生の教えの通り結城くんが「起立、礼」と号令をかけてホームルームが終了した。


私は帰り支度もせずに真っ先に結城くんのところへ飛んで行った。



「結城くん」


「ん?」


「なん、で学級委員に……?」



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