陽だまりをくれたきみが好き。


思いがけない言葉に立ち止まると、内田くんも少し遅れて立ち止まる。


ふたりの距離は遠いわけではないのに、近くない。
もどかしい距離。


彼の顔を真っ直ぐ見上げるとふっ…とこぼすように笑みを浮かべて。



「ばーか。冗談だよ。さっさと行くぞノロマ」


「んなっ……!内田くんひどいですー!」


「はははっ」



笑う内田くんにつられるように声を出して笑った。

少しだけかいま見えたキモチを隠すように。


……嬉しいと思ってしまったと、言ったら。


内田くんはどんな顔をするのかな。

早瀬くんは、怒ってくれるかな。


私は……。


私が、わからないや。


早瀬くんの笑顔と、内田くんの笑顔が心の中にいて。


胸の奥が、モヤモヤする……。


なんなんだろう、これ……?


< 121 / 206 >

この作品をシェア

pagetop