大好きの気持ち

「な、数学の54ページやった?
おれ今日あたるんだよ―」

腕を肩にまわしながら言う幸輝。

「自分でやれよ、見せないかんな」

幸輝が肩にまわした手を退けながら言う悠。

「自業自得だ、ばか幸輝」

からかうように言う美凪。

「そ、そんなぁ! どうかお慈悲を!」

手を合わせながら懇願する幸輝だけど、効果なし。

「いやだ」

「だめ」

2人に一蹴されている。

「ぷっ……、あははっ」

そんな3人がおもしろくて、笑ってしまう。

「あっ、じゃあ蛍! 頼むよ!」

笑っていると幸輝がわたしに頼めばいいと考えたのか、声をかけてきた。

チラッと美凪を確認すると、ウインクしてくる。

「ん―、どーしよっかな―?」

わざと意地悪く言うと、涙目になりながら手をつかんでくる。

「わわっ!」

「ちょっと幸輝―。なにかわいい蛍に手出そうとしてんのよ―」

からかい混じりに美凪がわたしを引っ張る。

「はぁ……」

悠がため息をつきながら幸輝を引っ張る。

「もう仕方ないなぁ」

「蛍、悪いけど見せてやって」

「うん、わかった!」
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