橘恋歌


何故だか声が出ませんでした。


「…あの」


私の振り絞るような声に、男の子は綺麗な目を少し大きく開けて反応しました。


「なに?」


「また…逢えるの?」


ここで別れたら、もう二度と逢えない気がして、怖くなりました。


「うん、きっと。きっとまた逢う」


その言葉を最後に、どちらからともなく無言でその場を去りました。


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