(仮)恋の幻想曲

気を取り直して学校へ向かう。
私立常盤高校は近所でも有名な高校だ。何が有名かって言うと『Sクラス制度』だろう。Sクラスとは生徒会のメンバーしか入れない特別なクラス。普通のクラスとの制服も違う。普通のクラスは茶色のブラザーに白と黒のチェックのスカートだけどSクラスは白いブラザーに赤のチェックという感じ。胸にはSという金の刺繍がされている。


「……あれ?」

「どうしたんだ。忘れ物?」


自分で言ってて分からなかったけど私も暦もSクラスの制服を着てる。という事は最初から暦はSクラスで転入生の私もSクラスという事になる。


「わ、私ってSクラスなの!?」


そのせいか。周りからの視線が痛いと思った。これが原因か。


「気付いてなかったのかよ…そ。奈々生もSクラスに入るんだ」

「え?何でなの」

「何でって……お前は最初からSクラスに入る予定だった――――っ!」


暦は慌てて口を塞ぐ。何か言いたそうだけど言葉を飲み込む。私も言いたかったけど言葉に出来なかった。
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