裏腹な彼との恋愛設計図
「彼女置いて帰んの? 本物の放置プレイじゃん」

「そうなるな」

「あ、でもドMちゃんならそういうのもアリかー。俺もイジメんの好きだし」


本当の同級生である笹賀は、俺が事故に遭った時も心底心配してくれて、彼だけは唯一信じられる男だった。

一度も、どんな小さなことでも俺を裏切ったことはない。

だが、楽しそうに笑うこいつにわずかな不安を感じた俺は、一応忠告しておくことに。


「お前は信頼してるから任せるけど……万が一、少しでもあいつに変なマネしたら」

「……変なマネしたら?」

「市中引き回しの上さらし首にする」


ヒクッと口元を引きつらせる奴に、冷ややかな笑みを浮かべながら、「ごちそうさま」と言って店を後にした。



酒を飲んでしまっていることを電話で話すと、母さんが車を出すと言ってくれた。

待ち合わせた駅のバス停辺りで、そわそわしながら彼女を待つ。

もう八年ほど会っていないのだ、さすがに緊張する……というより、気まずい。


十分ほど待つと、見慣れない白の軽自動車が俺の近くまで来て停まった。

そして勢い良く運転席から降り、こちらに駆け寄ってくるのは、やはり年を取ったと感じる母親。


「隼人!!」


それでも、涙を浮かべる瞳は優しくて綺麗で、俺の存在を確かめるように腕を掴む手は温かかった。

< 226 / 280 >

この作品をシェア

pagetop