裏腹な彼との恋愛設計図
「この年じゃ遅いだろうが、小さくても母さんとの老後まで暮らせるちゃんとした家が欲しいと思ってな。それと……隼人が帰ってくる居場所も用意したくて」


──俺が、帰る場所。

そんなもの、もうなくなったと思って諦めていた。

何年も離れていて今さら、しかもこの歳で、家族が恋しいだなんて思わない。

だがそういう場所は、きっといくつになっても必要なものだ。


「もう家族がバラバラになるようなことには二度としたくない。その決意も込めて、思い切って建てようと思ったんだ。
隼人も、一緒に皆の家を作ってくれるか?」


あぁ……同じじゃないか。家族の再起を願って、家を設計する男の映画と。

あの物語の主人公は、俺達だったのか。


許しを請うようでもあり、強い想いを滲ませてもいる、真剣な表情の父さんと母さんを見つめて頷いた。


「もちろん」


俺の返事を聞いて、二人の顔にじわりと笑みが広がった。


俺には設計をすることは出来ないが、家をプロデュースすることは出来る。

自分の家族の家を造るという一つの夢に向かって、動きを止めてしまいそうだった足を、ようやく一歩踏み出した。

ここから、再スタートだ。




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