裏腹な彼との恋愛設計図
「私、映画見てる間、ずっと違うこと考えてた。違う人のことを……」


おかしいよね。一瞬見ただけの彼のことが、いつまでも頭から離れないなんて。

これじゃまるで──。


「さっきからもしかしてって思ってたけど……
紗羽さん、柊さんのこと……好きなんですか?」


驚きを隠せないというように、軽く目を開いている矢城くん。

私も同じような顔になっているに違いない。


「……私が、柊さんを好き……?」


もう一度自分で呟いてぽかんとする私に、矢城くんは困惑した表情で目をしばたたかせる。


「自覚ナシ、ですか?」

「だって、そんなんじゃないと思ってたから……今の今まで」


ていうか、今も信じられない。

私、柊さんに恋してるの? あの意地悪で冷たいドSな先輩に?


信じられないけど、そう考えれば納得がいく。

三好くんのことを忘れられそうなのも、矢城くんとデートすることになって感じてた正体不明の違和感も。

全部、私が柊さんのことを好きなせいだって──。

< 64 / 280 >

この作品をシェア

pagetop