幼馴染みはイジワル課長
「いいのいいの。オフィス着いたらすぐに取引先と商談の電話をする予定だから」
「そっか」
私と歩未ちゃんはそんな会話をしながら、エレベーターが着くのを待った。
「おはよう」
エレベーターを待っていると、同じ部署の先輩数人が出勤して来て向こうから挨拶して来た。
「おはようございます!」
「おはようございます…」
挨拶をする私達を笑顔で見ながら、先輩達の目線はなんとなく歩未ちゃんを避けるように見えた。
私はそれに気づいていないフリをして、何事もない顔をしてエレベーターを待った。
みんな歩未ちゃんの噂を気にしてるのかな…
今の先輩達はどちらかというと噂好きでもないさっぱりとした性格の人達ばかりだけど、そんな人達も噂を信じちゃってるのかな…
まあ、部長と歩未ちゃんは現に付き合ってるわけだから…その噂は事実だし、なんとも言えないなんだけどさ…
でも、歩未ちゃんばっかりそんなふうに言われるのって違うと思うな。なんか歩未ちゃんが悪女っぽくなってて、かわいそう。
もうすぐ退社するけど、なんとか変な誤解だけでも解く方法はないかな。
下手に動くよりは、ここは大人しくしてる方がいいかのかな…退社してしばらく経てば、噂なんて消えるだろうしね。
がやがや
「おはようございます」
エレベーターに乗りオフィスに着くと、私と歩未ちゃんはデスクに座り荷物を置いた。
「澤村さんおはよう」
「おはようございます…」
先輩社員が私に挨拶をして来た時、私に笑顔を向けてちらっと歩未ちゃんを見た途端顔つきが変わった。それに歩未ちゃんには挨拶していで向こうに行っちゃったし…
何でああいう事するかな…
子供じゃあるまいし。
イライラしながら荷物を整理していると、隣にいる歩未ちゃんが私の肩をポンと叩く。
「私は気にしてないから大丈夫だよ」
歩未ちゃんはそう言って微笑むと、何度か頷いて私の肩から手を離した。
もしかして…歩未ちゃんもずっと気づいてたの…?
私は辺りをキョロキョロと見渡して人がいないのを確認したあと、歩未ちゃんに耳打ちしてヒソヒソと話す。
「でも…変な誤解されてて嫌じゃないの?」
私はああいうの嫌なんだけど!
「うーん…でも私…ガチで部長と付き合ってるから、誤解も何も」
「そういう事じゃなくて…なんか全部歩未ちゃんのせいみたいになってるじゃん」
「でも別れる原因は私だから…」
軽い感じで笑う歩未ちゃんは、いつになく明るかった。
「大丈夫大丈夫。私本当に気にしてないよ」
「歩未ちゃん…」
なんて強いんだろう…
私だったら仕事に行きたくないとか言って、碧に泣きついてるところなのに…
きっとこの事は部長にも言ってないんだろうな。
余計な心配させなくないだろうし、それに今2人は会わないようにしてる期間だしね。
「そろそろ朝礼やります」
すると、噂の部長が自分のデスクから社員に声をかけて来た。それが合図のように、私達社員はスイッチを入れたように気持ちを切り替える。
碧も通していた書類をデスクに置くと、ネクタイをきゅっと締め直していた。
今日のネクタイは私が選んだ物で、碧の何気ないその仕草だけでドキッとしてしまう。
「えー…今日は朝礼の前に皆さんに俺から話があります。なので少しだけ時間を下さい」
部長はそう前置きすると、その場で立ち上がって畏まったような表情をした。
今日の部長のしているネクタイは確か以前に歩未ちゃんがプレゼントした物で、すごくシックで大人っぽくて部長に似合っていた。そのネクタイを見て、私は部長が歩未ちゃんに対する想いを感じどこかで安心していた…
今は会っていなくも、部長はちゃんと歩未ちゃんが好きなんだって思えるから。
「急な話なんだが…今月いっぱいで会社を辞める事になりました」
ざわざわ
え…
冷静な口調で言う部長に、驚いた社員達は急にざわつき始める。
こ、今月で?
確かこの前は今年中はまだいるって言ってたのに…
「そっか」
私と歩未ちゃんはそんな会話をしながら、エレベーターが着くのを待った。
「おはよう」
エレベーターを待っていると、同じ部署の先輩数人が出勤して来て向こうから挨拶して来た。
「おはようございます!」
「おはようございます…」
挨拶をする私達を笑顔で見ながら、先輩達の目線はなんとなく歩未ちゃんを避けるように見えた。
私はそれに気づいていないフリをして、何事もない顔をしてエレベーターを待った。
みんな歩未ちゃんの噂を気にしてるのかな…
今の先輩達はどちらかというと噂好きでもないさっぱりとした性格の人達ばかりだけど、そんな人達も噂を信じちゃってるのかな…
まあ、部長と歩未ちゃんは現に付き合ってるわけだから…その噂は事実だし、なんとも言えないなんだけどさ…
でも、歩未ちゃんばっかりそんなふうに言われるのって違うと思うな。なんか歩未ちゃんが悪女っぽくなってて、かわいそう。
もうすぐ退社するけど、なんとか変な誤解だけでも解く方法はないかな。
下手に動くよりは、ここは大人しくしてる方がいいかのかな…退社してしばらく経てば、噂なんて消えるだろうしね。
がやがや
「おはようございます」
エレベーターに乗りオフィスに着くと、私と歩未ちゃんはデスクに座り荷物を置いた。
「澤村さんおはよう」
「おはようございます…」
先輩社員が私に挨拶をして来た時、私に笑顔を向けてちらっと歩未ちゃんを見た途端顔つきが変わった。それに歩未ちゃんには挨拶していで向こうに行っちゃったし…
何でああいう事するかな…
子供じゃあるまいし。
イライラしながら荷物を整理していると、隣にいる歩未ちゃんが私の肩をポンと叩く。
「私は気にしてないから大丈夫だよ」
歩未ちゃんはそう言って微笑むと、何度か頷いて私の肩から手を離した。
もしかして…歩未ちゃんもずっと気づいてたの…?
私は辺りをキョロキョロと見渡して人がいないのを確認したあと、歩未ちゃんに耳打ちしてヒソヒソと話す。
「でも…変な誤解されてて嫌じゃないの?」
私はああいうの嫌なんだけど!
「うーん…でも私…ガチで部長と付き合ってるから、誤解も何も」
「そういう事じゃなくて…なんか全部歩未ちゃんのせいみたいになってるじゃん」
「でも別れる原因は私だから…」
軽い感じで笑う歩未ちゃんは、いつになく明るかった。
「大丈夫大丈夫。私本当に気にしてないよ」
「歩未ちゃん…」
なんて強いんだろう…
私だったら仕事に行きたくないとか言って、碧に泣きついてるところなのに…
きっとこの事は部長にも言ってないんだろうな。
余計な心配させなくないだろうし、それに今2人は会わないようにしてる期間だしね。
「そろそろ朝礼やります」
すると、噂の部長が自分のデスクから社員に声をかけて来た。それが合図のように、私達社員はスイッチを入れたように気持ちを切り替える。
碧も通していた書類をデスクに置くと、ネクタイをきゅっと締め直していた。
今日のネクタイは私が選んだ物で、碧の何気ないその仕草だけでドキッとしてしまう。
「えー…今日は朝礼の前に皆さんに俺から話があります。なので少しだけ時間を下さい」
部長はそう前置きすると、その場で立ち上がって畏まったような表情をした。
今日の部長のしているネクタイは確か以前に歩未ちゃんがプレゼントした物で、すごくシックで大人っぽくて部長に似合っていた。そのネクタイを見て、私は部長が歩未ちゃんに対する想いを感じどこかで安心していた…
今は会っていなくも、部長はちゃんと歩未ちゃんが好きなんだって思えるから。
「急な話なんだが…今月いっぱいで会社を辞める事になりました」
ざわざわ
え…
冷静な口調で言う部長に、驚いた社員達は急にざわつき始める。
こ、今月で?
確かこの前は今年中はまだいるって言ってたのに…