危険なお見合い
ある療養施設にて
凌路はこっちから叩くと言ったが、優理香は思いだせば手が震えてしまう。

仕事も手につかない程、精神的に追い込まれていた。


「兄さん、優理香ちゃんのこと、お医者さんのアドバイスにもあったけれど、自宅と叔母さん家から離すといってもどこに住んでもらうつもり?

うちのホテルにしたって、ひとりで考え込んでしまうのはよくないみたいだし・・・。」


「それなんだけどな・・・俺の仕事場でいいかと思ってるんだ・・・。」


「えぇ!年寄りばかりのところで優理香ちゃんをどうするんだ?」


「だからいいんだよ。
それに、俺もそろそろ前に進まなきゃいけない頃だしな。」


「へ~~ぇ。まさか兄さんが優理香ちゃんにそこまでいれこんじゃうなんて、思ってもいなかったけど・・・いいことなんじゃないかな。」


「いい機会だから白状しておくが、俺はおまえがバカなことをしてくれたおかげで優理香を間違って罰しにいったわけだが・・・おまえが彼女は妹の方だって叫んでくれたとき、すごくうれしかったんだ。

優理香の泣き顔はつらかったけど、優理香は誰のものでもないとわかって・・・心のどこかでホッとしたのも確かだった。
ずっと会えなかったけれど、幸せになってほしかった。
いや、どこかで会えないかと思ってたな。」


「兄貴もしかして・・・ロリ・・?」


「バカやろう!当時はマジでかわいいと思ったんだ。
そして、売れっ子ライターの記事を見てからは・・・。」


「見てからは?」


「謝りたいと思って彼女の叔母さんのところへ行ったんだ。
いや、どうしても会いたいと思った。
泣かれても、殴られても、嫌がられても・・・会いたくて。」


「なるほどね・・・だからいろんな女とつきあってもうまくいかなかったり、長続きしなかったんだな。
兄貴にとって優理香ちゃんが運命の女だったんだ!」


「おい、優理香にしゃべるなよ。
俺がどう思おうと、優理香は今、それどころじゃないんだからな。
あの金髪野郎のおかげで、男性恐怖症がひどくなって、そのうえにバカ王子のせいで人間そのものも信じられなくなっている。

まずは心ない人間ばかりじゃないってところを思い出してもらわないとな。」
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