サボテンの恋
それなりに大手の出版社に入社して五年間、小春はすべてを仕事のために費やしてきた。

どんなに面倒なことも小さなことも、もちろん雑用だって文句言わずにやってきた。

そしてやっと回ってきたチャンス。新しく出版されるティーン向け女性ファッション誌の企画リーダーを任されたのだ。これに成功すればかねてからの夢だった編集長になることも夢ではない。

だからこの数ヶ月、今までにないくらいがんばった。

たぶんさっき休憩室にいた子たちは企画チームのメンバーだろう。頑張りを認めて欲しい、知って欲しいとは思わない。

でもやっぱり何も知らずに好き放題言われることは単純にくやしかった。
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