いつかあなたに還るまで

「…! 霧島さんっ?!」

見れば隼人が膝をついて壁に寄り掛かっている。見るからに苦しそうで、志保は顔を真っ青にしながら慌ててその場に駆け寄った。

「大丈夫ですかっ?! ごめんなさいっ、私が押しかけたりしたから…!」
「…いえ、あなたのせいではありませんから。ちょっとここのところ仕事が忙しかったので…ですから何もお気になさらずに」
「でも…!」
「本当に大丈夫ですから。わざわざ来てくださってありがとうございます。…これも、私のために買ってきてくださったんですね。ちょうど何もなかったので助かりました」

無理矢理押しつけられた栄養ドリンクや食べ物を見てニコリと笑う。
本当は苦しくて堪らないはずなのに。ありがた迷惑なはずなのに。

「…ですがすみません、せっかく来ていただいたのですがあなたにうつすわけにはいきませんから。申し訳ありませんが今日はお引き取りくださいますか? またあらためて今日のお詫びとお礼をさせてもらいますから」

申し訳なさそうにそう言うと、フラフラしながら隼人は立ち上がった。そのまま部屋に戻ろうとしたものの、数歩進んだところで再び体がグラッと傾く。

「霧島さんっ!!」

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