音楽が聴こえる
「もう一回、行くか」

斗夢の声に、山路が待ったを掛ける。

「チューニングいじる。……香田ちゃんにちょい注意されたわ」

斗夢と俺は顔を見合わせる。

山路がイジケずに、他人の意見を聞くなんて有り得ねぇ。

「洗脳されたか……。山路が気持ち悪っ」

斗夢も腕を擦った。

「……うっせぇ」

レンチ片手に山路はニヤリとした。

その少し離れた場所では、自分の描いたスコアブック片手に謙二が考え込んでいる。


香田って実は怖えー女かも。


―― 『SPLASH』が進化していく予感。


俺の頭の中で漠然とそんなフレーズが浮かんだ。





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