音楽が聴こえる
店でしこたま飲んだ後に家でも一杯やってたみたいで、少しばかり目付きがヤバい、気がする。

藪にらみって、こういう視線のことかも。


「……あんたがシュウを呼んだみたいだから」

その強い視線を受け止め切れず、あたしは下を向いた。

「普通にお膳立てしたって、お前シカトしそうじゃねぇ? ま、要らねー気ぃ回したみたいだけどな。あいつらにはちゃんと謝っとけよ。お前が居なくなったって、ピーピー騒いでたぜ」

目は怖いくせにその口から出てくるのは、やっぱり悟の優しさだった。

……あたし以外の人間へ向ける優しさ。

だからつい意固地になって、悟の苛立ちを煽りたくなってしまう。

「そんなの頼んでないじゃん。あたしだって、連絡が来たら今度は会おうと思ってたよ。そうしたら斉賀達のことだってちゃんと邪魔しないで観れたのにっ」

「んじゃ、事務所で話せば良かっただろうがっ! 消えたのはお前の意思だ、俺のせいにすんな」

腹立たしさを滲ませた悟は、付けたばかりの煙草の火を揉み消した。
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