音楽が聴こえる
もう片方に持っていたコーヒーを飲み干して、ニッと笑った。

「全く素直じゃねーな。……うちの茉奈ちゃんは」

悟は仰向けに転がっていたあたしの上に跨がると。

ゆっくりと、その切れ長の瞳をあたしの顔に近付けた。

「……食欲は満たされたから後はこっち」

悟のスイッチが一瞬にして、エッチモードに入った。

「お前に睨まれるとヤりたくなる」

「……ばーか」

悟の首に手を回した途端、彼の大きくて長い指があたしのチュニックの中に潜り込んで来た。

「…んん…っ……」

喉の奥の悲鳴を聞き付けた彼は、整った顔の口角をキュッと挙げて、私の口元に薄い唇を落とした。

端からみれば、こういうことをしてるのって、恋人とかって言うんだろう。

だけど、あたし達はそんな言葉を交わした訳でもなく……。

家族の次に近い存在は、友と呼ぶには近過ぎて、愛と呼ぶには中途半端で。

今日も私の立ち位置を分からなくさせる。

悟の唇を全身で感じながら、白い靄のかかった頭でぼんやりと考えた。
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