甘いヒミツは恋の罠
(私の憧れの朝比奈店長はいずこに……)


「うぅ……いったぁ」


 四年前の穢れのない美しい記憶は、この瞬間に儚い思い出となった。


(こんな……こんなはずじゃなかったのに)


(あんな人が私の上司なんて……)


(これからどうなっちゃうのぉ~!)


 紅美は、思いの丈を大声で叫びたい気持ちを抑えて冷たい床にガリガリと爪を立てた――。
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