甘いヒミツは恋の罠
Last Secret 指輪が奏でる想い
「ん……」


 まぶたに降り注ぐ暖かな朝の日差しに、紅美はうっすらと目を開けた。太陽の光を反射した雪が眩しくて目を細める。


(ここ……どこ?)


 見覚えのない天井、見覚えのない壁、紅美がゆっくり寝返りを打つとそこには――。


「あ、朝比奈さん!?」


 白く浮かんだ肩を覗かせながら一糸まとわぬ朝比奈が、穏やかに寝息を立てていた。そして、全身に外気が直接触れている違和感に、紅美は自らの身体を見た。


「■※☆★~~~!!」


 声にならない声をあげると、隣りで朝比奈が小さく呻いた。


(そうだ……私、昨日……朝比奈さんと――)


 あの時感じた朝比奈のとろけそうな熱を思い出す。すると、全身に流れる血が一気に沸騰し、紅美は真っ赤になって顔を布団に押し付けた。




 ――紅美、俺だけを見ろ。



 ――お前の身体は甘いな……。


 ――全部、俺のものだ……。
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