甘いヒミツは恋の罠
 最近どこどこのカフェに彼氏と行った。とか、新しくできたテーマパークに彼氏と行った。などという友人の話を聞いて、正直うらやましいと思う自分がいた。


 これまで仕事ひとすじでやってきたが、そろそろ気のおけない相手を探すことをしてもいいのではないかと思っていた。


 自分で自分を許さなければ、きっと一生ひとりだろう。


(うぅ~そんなの嫌っ)


 紅美は、年を取ってもひとりで寂しくいる自分の姿を一瞬想像して、ブンブンと首を振った。


(そうだ、この機に素敵な彼氏を見つけよう!)


 そう意気込むと、紅美はパシッと音を立てて割り箸を割った――。
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