冷たい上司の温め方

それに、私も新人だ。
教えられるほどのスキルはない。と思ったけど、なんでもやろうと決めていた私は、新人の山際さんのところに向かった。

楠さんが行って来いということは、おそらく私にもわかる仕事のはずだ。


「麻田です。一緒に仕事をするように言われたの。よろしくお願いします」

「よろしく」


私があいさつをすると、彼女は少し眉をひそめた。

彼女に任せられていたのは、新人の健康診断書のとりまとめだ。
特に難しい仕事ではない。

要検査の人を抽出して、検査を促す書類を作って、各部署にもって行ったり、郵送すればいいのだ。


「さて、とりあえず営業部に行きましょう」

「うん」


心なしか元気のない山際さんは、私の後についてきた。

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