SHIZUKU ~ 透明な朝露に抱かれて ~
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『すごいね。私がいっぱい。』




君は感嘆の声をあげ、壁いっぱいに並べられた写真を見渡す。


銀座のスカイタワーL19のビル32階。


そこで俺の写真展をする事になり、今日はその前日。


会場に飾られたいくつもの写真の中に、君の笑う姿がある。





『写真集も完成したんですよ。見ますか?』



出版社の営業である朝香さんの言葉に、君は頷く。





『3種類もあるんだ?』



空、花、人の3つの題目で分けられた写真集を君は開く。



『綺麗な空ぁ。』





プロカメラマンになって2年。


まだ写真だけじゃ食っていけないが、賞賛される事には慣れてきた。


でも、君の素直な感想は、俺の心をくすぐる。




『これにも、私がいっぱいいる。

何だか、恥ずかしいけど、自分で言うのも恥ずかしいけど、
幸せそうで、何だかいいね。』




『ありがとう、しずく。』




『それじゃあ、キョウさん、僕は帰りますんで、明日、よろしくお願いします。』




朝香さんはそう言って、帰って行った。


俺達もその後ビルを後にした。


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