もう1度
-3年前-
「はぁー…眠っ。」
と、いつもと変わらない光景が私の周りに広がる。

「あーまた未希そんな顔して。」
と、私の前の席に座って来たのは、小学校からの幼なじみの絵菜(えな)。
私のことを何より大事にしてくれてる数少ない私の理解者。

「未希ちゃーん。
今日も可愛いね!
そうだ!俺とデートしよっか。」

「絵菜、次の時間何だっけ?」

「えーっと、数学だよ。」

「よしっ、寝よ。」

「未希ちゃーん、無視?
ねー、ねー?」

「「隼人、うるさい!」」
と、私と絵菜が口を揃って説教してるのは、高校に入って仲良くなった隼人(はやと)。

隼人は、口を開けば女を口説いて、一見チャラそうだけど、仲間を誰よりも信頼して仲間思いなねはいい奴。
けど、それをうまく表現できない馬鹿な奴。
こんな隼人もクラスには欠かせない1人でもある。

こんな周りにも恵まれて、何の変哲もない毎日を私は過ごしてる。

私は、立花 未希(たちばな みき)。
柊(ひいらぎ)学園 高等部 に通う2年。
特にクラスでの立ち位置なし。
普通の女子高校生をやっている。


(こんな私の周りはこんなにも騒がしい奴ばっかなんだろう。)
とつくづく思う。
なんのとりえもない私の周りには浮いたやつが多い。

「そういえば2人とも聞いた?」

「何が?」

「近々転校生来るらしいよ。」

「まぢで?」
「なんで知ってんの?」

「まぢ!
学年団の先生が話してるとこを盗み聞きした。」

「今の時期に転校生って。」
「さすが、情報通。」

「といっても、これはかなり広まってんだけどね。」

「知らなかったんだけど。」
「おれも初耳。」

「未希はなんとなくそんな気がしてたけど、隼人は知ってるかと思ってた。」

「悪かったわね。
どーせ乗り遅れてますよー。」

「まぁまぁ、そんなに怒らないでよ。」

「いつ来るんだろーな、転校生。
女の子だったら、ごあいさつしなきゃ。」

「あ、それはいらない。
男だって。」

「そこまで知ってんの?!」
「男かよ。
でも、未希ちゃんが言う通りだね。
何でこんな時期に転校生って珍しいね。」
と隼人も私と同じところが気になったようだった。

だって、今は6月。
転校するにも中途半端な時期だった。

(相当の問題児だったのかな。)
と私は軽く考えてた。
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