何度でもキミに初恋を
『次のカップルさま、こちらへお入りくださーい』


案内係の子は声をからして案内している。

案内係をはじめ、照明係、カメラ係のみんなは、式場スタッフみたいな、白いシャツに黒いパンツをはいている。


裏方の私と里奈ちゃんだけはジャージ姿だ。


私のクラスの【ウェディングフォトスタジオ】は朝から超満員だった。


私と里奈ちゃんは、裏方で汗だくになっていた。


『すずか、ドレス二枚借りて正解だったね』
里奈ちゃんが小さい声で私に囁く。


予算の関係で、ドレスは一枚にしようかという意見も出た。
でも私は、二枚の方が絶対にいいと言い切った。


ウェディングドレスは着るのに時間がかかる。


一枚だったら、お客さんをたくさん待たせてしまうし、この【フォトスタジオ】は必ず人気になるという確信があった。


私は、いつもきれいにメイクしておしゃれにしてる里奈ちゃんが、ジャージ姿で汗だくになっているのを見つめた。

最初は、柚樹先輩が見てない場所では委員の仕事をサボりまくっていた里奈ちゃん。


でも、途中からだんだん、私をサポートしてくれるようになって、最後には全力で助けてくれた。


ドレスを二枚借りよう、と私が言った時も、私を信じて先生に一緒に頼んでくれた。


『里奈ちゃん。いろいろとありがとう。私、きっと里奈ちゃんがいなかったら、委員の仕事出来なかったよ』


私は心をこめて、里奈ちゃんに言う。


里奈ちゃんは目を丸くして私を見つめると、急に私をギュッと抱き締めて、
『こっちこそ…ありがと』
って、言ってくれた。



『篠崎、小林!ちょっとこっち手伝って!』


カメラ係の男の子の声がして、私たちは走り出した。

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