何度でもキミに初恋を
それにしても…



段ボールから漫画やギターなんかを出しながら、ふと思い出す。



『たったの三年なのにねぇ、なんで気づかないのかしら』



千秋さんはそう言ってたけど…



俺も最初は驚いた。


きっと、他の場所で再会していたら、俺だって気付かなかったと思う。



俺の知ってるすずは、中学一年生で、
セーラー服を着ていて、真っ黒な髪をおかっぱにしてた。


それが…


黒目がちな、くっきりした二重の目に長いまつげ、小さい唇は相変わらずだったけど、真っ暗だった髪は栗色になっていて、ずいぶんと長いみたいだった。



一瞬、姉ちゃんのまなみさんかと思った。


昔は全然似てなくて、美人な姉を持つとこうもひがみっぽくなるのか、と少し憐れんでみていたけど…


『三年ぶりか…』


誰もいない部屋で一人呟いた。
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