それでもキミをあきらめない



聞き慣れた声が、背後から響いて、

高槻くんの身体がこわばったのが分かった。

反対に、わたしの身体からは力が抜ける。


大嫌いだったはずなのに、
声を聞いただけでほっとしている自分が不思議だった。


「うちの妹から離れてくれるかな? ストーカーくん」


翔馬に言われ、高槻くんは慌ててわたしを開放する。


「ちが、俺……ぼくは」


弁解しようとする高槻くんの肩にいきなり腕を回し、兄は「あれぇ」とわざとらしい声を出した。


「どっかで見たことあると思ったら、もしかして君が罰ゲーム野郎くん?」


にやにやと笑みを浮かべながら、翔馬はちらりとわたしを見る。


「どうしちゃったわけ? うちの妹が急に惜しくなっちゃった?」

「そういうんじゃ」

「はいはい、話はそこの公園で聞こうか」



< 228 / 298 >

この作品をシェア

pagetop