それでもキミをあきらめない


「だははははははははは! ば、罰ゲームって! だっせ! ひー、お腹イターイ」

「わかってたのに、わたしのバカ! 大バカ!」
 

思わず声に出して自分をののしった。

もう死んでしまいたい。

 
何度もだまされてるのに、どうして学習できないんだろう。

自分の馬鹿さ加減が信じられない。

 
部屋の真ん中で身をよじっている翔馬に枕を投げつけたものの、「おっと」と簡単にかわされてしまった。


「さよならバカ翔馬!」

 
ベランダに続く窓を勢いよく開ける。雲のない夜空に星がまたたいていた。


「わたしも星になってやる」

 
手すりによじのぼろうとした瞬間、背後の笑い声が消えた。


「まあまあ、好きなヤツにだまされたからって、そうヤケになんなよ」

「半分は兄ちゃんのせいなんだけど!」

 
振り返ると、翔馬はなにやら不可解な笑みを見せた。
 
子どものころから変わらない、なにかを企んでいるときの、いたずらな目つきだ。 
 
もったいぶるように含み笑いをして、兄は言った。



「復讐してやれよ」



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