夏が暑いわけ

Side*ゆうや



デートの3日前。


ピンホーン

ん?チャイム?

こんな朝早く…


「はーい。今でます。」

ガチャ………

「祐也っ…」

その客はドアを開けるなり、
俺に抱きついてきた。

「何だよ絵美子。やめろよ。離れろ。」

「違うわ。私は絵美子じゃない。
私は真理亜よ。
祐也さんだって知っているでしょう?
私が名前を変えたこと。」

あぁ、そう言えば…

「それで、何の用だ。」

「祐也さんに会いたくなっちゃって…」

こいつは鈴木絵美子。
いや、鈴木真理亜。

絵美子と言う名前が嫌で
真理亜に名前を変えたのだ。

四年前に別れた俺の元カノだ。

「今更なんだよ。」

「だから、祐也さんに
会いたくなったのよ。」

「は?」

「ここが祐也さんのお家ね。
どんなのかしら。」

「ちょっ、お前なに勝手に
入ってんだよ。」

「あら、いいじゃない。
私たちだってそんなに
浅い仲じゃなかったのだから。」

「…こいつ……」

「はぁっ今日は疲れたから
止まって行くわ。」

「は⁉︎お前なに言ってんだよ!」

「あら?身寄りのない私を捨てる気?」

「それは…」

「じゃあ、お世話になります。」

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