初恋の絵本
『また明日』のアンパン


「なんで心実、そんなにコソコソしてんの?」

「え?あ、……うん」



ハルに試合に来て欲しいと言われてから
なんか普通に見れなくなってしまった。

サッカーをしている姿を見たいんだけど、焦ってしまう。



「今何点差?」

「え?試合見てたんじゃないの?」

「見てるんだけど、頭に入ってこないの……」



あんなカッコいい人が、
私に試合を見に来てくれつて。

うわあああ。



「心実。顔赤いよ」

「う、うん」

「あのね。こないだから思ってたんだけどね」

「……うん」

「ハルのこと好きなんじゃない?」

「ええっ⁉︎」

中腰にしていた体が、
妃ちゃんの言葉で跳ね上がった。

思わず、フィールドにいるハルを見る。



相変わらず、すごい運動神経だなあ。

楽しそうにドリブルをしている。



「いやいやいや。なにそれ⁉︎」

「だって。意識しすぎだし」

「それは……ハ」

ハルがって言おうとしたら、
すごい歓声が起こった。

「ハル、シュート決めたみたいだね」

「…………」



シュートを決めたハル。

嬉しそうだなあ。

サッカーすきなんだろうなあ。

なんて、意識するのを忘れて
微笑ましく見ていたら。




目が合った。



「!」



あって、思ったら。

にこーって。Vサインをされた。



ドキッとした。

心臓、痛い。

ドキドキしすぎて痛くなる。





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