初恋の絵本




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「今日。青山が来てる」




廊下の窓辺でハルと
アンパンを分けっこする。

翔くんに、
よく飽きないねって言われたけど。

アンパンにいつも美味しかったし、
なにより一緒にいられるのが
嬉しかった。




「彰吾が?」

「うん。テストの日だけしか来なかったのに珍しい」

「なんでそんな不安な顔しているの?」



余裕なハルらしくない。



「そりゃ不安だよ!青山、カッコイイし」

「あはは。なんだかハルらしくないね。いつも余裕そうなのに」

「は?余裕なんて全然ねーし!」


本当に余裕がないのか、
ハルはため息ばかり漏らしている。




「大丈夫だよ。彰吾は友達だから。私が付き合ってるのは……」

「友達?俺は友達だって思ってねえぞ」

「え」






突然。

引力みたいにハルに引きつけられてた体が、後方に引っ張られる。





転ぶ!





反射的に身構えると、
予想していた床への衝撃に
見舞われることはなかった。






その代わり。

私の知っているハルのぬくもりとは
違う腕に包まれた。






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