赤い流れ星3




『ねぇ、野々村さん、どう想う?
食事中にコーラを飲む人なんて、世の中にはたくさんいるよね?
それって、そんなに悪い事かな?
なんであんなにガミガミネチネチ言われなきゃならないんだろう?
私、今はもう兄さんの顔見るのもいや!』

私は携帯の画面を見ながら、このメールにどんな風に返信しようかと頭を抱えた。



最初は自己紹介のような雰囲気で、お互い、様子を見ながら他愛ないやりとりをしていた。
美幸さんの好きなアニメのことも教えてもらい、私は早速DVDをレンタルしてきてそれを見て感想を送った所、とんでもなく長い返信が返って来た。
携帯でこれほどたくさんの文字を打つのはかなり大変だったんじゃないかと感心する程、熱のこもった内容で、美幸さんがどれほどそのアニメに思い入れがあるのかが痛い程感じられた。
その事をきっかけに、メールのやりとりも回数を増し、最初はけっこう堅い文面だったのが砕けた言い回しに少しずつ変わっていった。
私は相変わらず堅いままで申し訳ないなと思いつつ、なかなか砕けた文面で書けない。
さらにそれから数日が経った今日、美幸さんから悩み相談のような、愚痴のようなメールが舞いこんだ。
理由は、青木さんのこと。
食事中にコーラを飲んでいることを注意されたらしく、そこから服装のことやら、趣味のことをあれこれお説教されたそうで、美幸さんはそのことを酷く怒ってらっしゃる様子だった。



(なんて書こう…?
どんな風に書いたら、美幸さんの気持ちが落ち着かれるかしら?」



私はもう一度、美幸さんのメールを読み返し、そしてぽちぽちと携帯のボタンを押し込んだ。
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