赤い流れ星3
「まぁ~~っ!
あんた、カズの冗談を本気にしてるんじゃないわよ!」

「え…?
あ、高見沢大輔…さん!?
あ、あぁーっ!」

高見沢大輔が、アンリを俺の隣から突き飛ばした。
アンリはバランスを崩したが、倒れることはなかったから安心はしたものの、俺は手を差し伸べるでもなくただ二人のやり取りを呆然と見ているだけで……



「カズ……
あんた、ちょっと前に若い女のことで痛い目にあったばっかりだっていうのに、また同じような女とつきあってるの!?
いい加減にしなさい!
付き合うならもっとまともな女と付き合わなきゃ……」

高見沢大輔は目を釣り上げ、俺に詰め寄り大きな声を上げた。



「高見沢さん、酷いじゃないですか!
私のこと、何も知らないくせに……」

アンリは、怒りに満ちた瞳で高見沢大輔に立ち向かう。
いつものたおやかなアンリとは別人みたいだ。



「一目見りゃ、だいたいのことはわかるのよ!
あんた、そんなに自分に自信があるの?
言っとくけど、あんたなんてね、本気で愛されてるわけじゃないのよ!
ただの性の捌け口!
そんなこともわかんないの!?」

「ひ、酷いです~……」

「あ……」



アンリは、片手で顔を抑えながら、そのまま部屋を飛び出して行った。
今のはいくらなんでも言い過ぎだ。



「カズ…彼女、どうするの?」

「え…あ、あぁ……そ、そうだな……
アッシュ……すまないが家まで送ってやってくれ。」

「……OK。」

アッシュの返事には一瞬の間があった。
それもそうだ。
なんで、俺は彼女を追いかけない?
なぜ、自分で送って行こうと考えなかったんだろう?



「タカミー……今のは言い過ぎじゃったな。」

「良いのよ。
今の若い女は、あんな程度じゃ落ちこまないわ。
それより、最初からはっきり言ってやってた方があの女のためにも良いのよ。」

「しかしのぅ……
それより、和彦さん…あんた、行かなくて良いのか?
彼女さんなんじゃろ…?」

「……アッシュが行ってくれましたから……」

大河内さんが、アンリのことを心から心配しているのはよくわかる。
そうだ…大河内さんは何も悪くないんだ。
そんな大河内さんに一方的に苛々して……あんなことを酷い事を言われたアンリを助けようともしない……悪いのは、すべてこの俺なんだ。
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