赤い流れ星3
side 野々村美咲




「あ、青木さん!」

玄関先に立っておられたのは、思いもかけなかった青木さんで……



「こんにちは。昨夜は美幸が大変お世話になりました。」

「えっ!?も、もしかして、美幸さんを迎えに来られたんですか?」

「はい。美幸は……もちろんもう起きてますよね?」

「え…そ、それはもちろん。と、とにかくおあがり下さい。」



青木さんは少し躊躇ってらっしゃる様子でもあったけど、入っていただけた。

それにしても驚いた。
まさか、青木さんが迎えに来られるなんて……
今更どうにもならないけど、こんなことなら、もっとちゃんとお化粧しておけば良かった。



「に、兄さん!」

「美幸……おまえ、こんなに野々村さんにご迷惑をかけてどういうつもりだ!」

「え……だ、だって……」

美幸さんは救いを求めるような視線を私に向けられた。



「あ、青木さん、迷惑なんてそんなことないんですよ。
私達、昨夜は遅くまでいろんなことをおしゃべりして……本当に楽しかったんですよ。
今までこんな風に親しくお付き合いした女友達がいなかったんで、とても新鮮でしたし……また泊まりに来て下さいってお願いしてたところなんですよ。」

青木さんは美幸さんをみつめながら苦虫を噛み潰したような顔をされて……でも、私のフォローがうまくいったのか、それ以上の文句は言われなかった。



「野々村さんがこうおっしゃって下さるんならそうしたら良いが……
でも、酔っ払って来るようなことはするなよ。
そもそも、なんだって、そんなに飲んだんだ。
若い女がみっともない!」

「そ、それは……あの……ほら、最近、けっこう飲む機会があったじゃない?
い、いや、けっこうでもないけど、ほ、ほら、兄さん達と食事すると、皆、がばがば飲むじゃない。
それを見てたら、なんか格好良いっていうか、わ、私ももう少し飲めるようになりたいなぁって思って……それで、その……」

私は美幸さんの弁解をひやひやしながら見守った。
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