赤い流れ星3
side 美幸




「うわぁ、見てよ、美幸ちゃん。
すっごく良い肉だよ。
今夜はカズもアッシュもいないし、美幸ちゃんももう食べてきたんだよね?
明日、みんなで食べようね。」

「そ、そうだね。
楽しみだよ。」



家に帰ると、マイケルさんだけがいた。
まだ、そう遅い時間じゃなかったから、マイケルさんが戻ってたのが不思議なくらいだった。
おじいさんがお肉を持っていかないかって言ってくれたけど、そんなことしたら、私がおじいさんの家に行ってたのがバレるから、残念だけど断った。
そしたら、家に着いてしばらくして、おじいさんの所の人が肉を持ってやって来た。
その人が今日のことを話すはずもないけど、やっぱりちょっとどきどきしてしまった。
だって、今日は、野々村さんと遊んで来るっていって家を出たんだもん。



「兄さん達は、今日もまた遅いのかな?」

「かもしれないね。
……なに?カズに用事でもあるの?」

「ううん、そういうわけじゃないよ。
じゃあ、私、先にお風呂に入るね。」



しょっちゅう嘘は吐いてるものの……やっぱり嘘を吐くっていうのは、気分が良くない。
お風呂に入りながら、私はそんな罪悪感も洗い流してしまいたいと思った。



(でも…よくよく考えてみれば、悪いのは兄さんだよ。)



だって、兄さんがおじいさんと親しくしちゃいけないなんていうからいけないんだ。
本当は今日だって、兄さんがそんなことを言わなきゃ、おじいさんはアッシュさん達や兄さんを呼ぶはずで……
でも、私が、兄さんにおじいさんとあんまり親しくしちゃいけないって言われてることを話してるから、おじいさんは気を遣って呼ばなかったんだ。



(で……兄さん達の代わりにシュウさんや慎二さんを呼んで……)



なんだろう……
シュウさんのことを考えると、なんだか恥ずかしい気持ちになって顔が熱くなる。

そうだ……
おじいさんや野々村さんがあんなことを言うからだ。



『ひかりのことを信頼しとるか気に入ってるかじゃ。』



そんなわけないじゃない。
実際、今日はいつもよりシュウさんと話せたし、なんだかすっごく優しい微笑を浮かべてくれたこともあって、私もぼーっとしちゃったけど、そのすぐあとには急に態度が変わって、苛々した雰囲気でみんなを探し始めて……

やっぱりシュウさんってよくわからない。
あ……そういえば、兄さんもそういうとこあるな。
きっと、二人共気分屋なんだね。
っていうか、本当にあの二人はタイプが似てるよね……

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