赤い流れ星3




「ごめんなさい!」

「本当におまえってやつは…」

「まぁまぁ和彦さん、そう怒らんでも良かろう…」

時は流れ、シュウの店でのパーティの日となった。
出掛けに、美幸がコーヒーをこぼし、その着替えに手間取って、約束の時間に少し遅れてしまった。



店に着くと、皆が立ち上がり、今にも乾杯が始まるところだった。
常連だけだという話だったが、思ったよりも大勢の客が来ていて、前の方は見えない。
俺達は、一番後ろでなんとか乾杯をすることが出来た。



「もう席はいっぱいのようじゃな。
あそこしか空いとらんようじゃ。」

「おまえがぐずぐずするからだぞ。」

「ごめんなさい…」

俺達は、すみっこのテーブルに座った。
まぁ、じきにシュウが俺達のことをみつけてくれるだろう。
それまで俺達は隅っこの席で、寛いでいることにした。



「どんな人じゃろうなぁ…シュウのお師匠さんっていうのは…」

「まぁ、そのうち会えるでしょう。」

俺達は、酒を飲みながら他愛ない話をしていた。
その時、聞きなれた声が俺の名を呼んだ。



「カズ!こんなところにいたのか!」

それはシュウの声だった。



「あぁ、今日はちょっと来るのが遅れてな…」

歩み寄って来るシュウの後ろに、中年の男性がいた。
仕立ての良いスーツをセンス良く着こなしている。
きっと、彼がシュウの師匠のカズさんなんだろう。



「カズ…来てくれてありがとう。紹介するよ。
俺の師匠のカズさんだ。」

「初めまして。青木和彦といいます。
シュウにはいつも世話に…」

俺が片手を差し出し自己紹介を始めているというのに、その男性は俺を見て放心したように立ち尽くしていた。



「シュウ…VIPルームに…」

「え?」

「頼むよ。この人と話がしたい。」

男性は、シュウに小声で囁いた。
そして、俺はわけもわからないまま、いつものVIPルームに連れて行かれた。
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