赤い流れ星3
「和彦…本当にすまなかった。
俺はお前に何もしてやれなかった。」

「いえ…そんなこと…」

「俺は未熟だった…
結婚して子供が出来て…それなのに、親としての自覚がなくて…」

「仕方ないことだと思いますよ。
あなたはその時、まだ子供だったんですから…」

「……その通りだ。
俺は何もわからないガキだった。
その点、真樹子はしっかりしてた。
あいつの方が年は下だったのに、俺なんかとは違ってた。
愛想を尽かされるのも当然だな…」

高坂は俯き、本当に済まなさそうな顔をして…なんだか、気の毒に思える程だった。



母さんは良く話していた。
あんたの父親は、バイトも続かずすぐにやめては家でごろごろしていたと…
しかも、友達が誘いに来るとすぐに遊びに出掛けてしまう…
甲斐性がなくて無責任な男だとよく愚痴っていた。



きっと、それは本当のことだろう。
俺だって、19やそこらで子供が出来ていたら、真面目に子育て出来たかどうかわからない。
男なんてきっとそんなもんだ。
女は自分の身体の中で育て、お腹を痛めて産むのだから、親になる自覚も強いのだろう。



「あの…別れてから会わなかったのは、もしかして母に言われたからなんですか?」

「そうだ。
今後、一切、和彦にも自分にも近寄るなと言われた。
あいつが気のきついことは俺も十分知ってるし、だから、言われた通りにした。
でも、実は隠れて見に行ったことは何度もあるんだ。
もちろん、おまえも真樹子も気付いてはいなかったが、幼稚園の運動会も遠くから見たことがあるんだ。
そう…いつもすごく遠くからだった。
こんな風に手が伸ばせるくらいに近付けることなんて、まったくなかった。」

そう言いながら、高坂は俺の手を握りしめた。



「それで、今は真樹子たちとは離れて暮らしてるのか?
それとも、真樹子達もこっちに?」

「いえ、母たちは向こうにいます。
今は、友人とそして美幸とでこっちに住んでます。」

「おまえ、まだ独身なんだよな?
結婚はしないのか?」

「ええ…なかなか良い人と巡り合えないんで…」

「カズさんだって、独身じゃないですか。」

「えっ!?そうなんですか?」
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