赤い流れ星3
「なんか…楽しい人だったね。」

「そうか…?」

「うん、優しいし…
もっといやな人かなって思ってたけど、全然そんなことなかったね。」

「そうか…」

美幸も母さんの愚痴を聞かされていたから、高坂には悪い印象を持っていたようだ。
確かに、実際会う高坂はいやな人間ではない。
寧ろ、明るくて無邪気で、誰からも好感をもたれる人間だ。
元々のイメージが良くなかったから、なおさら良い印象を受けたのかもしれない。



「今日のこと、母さんに話すの?」

「さぁ、どうかな。」

「私からは言わない方が良いかな?」

「それはおまえに任せる。」

母さんとはたまに電話で短い話をするくらいのものだ。
だから、わざわざ話さないと話題にも出るはずがない。
まさか、今更、高坂と会うなとは言わないだろうが、話しても、お互い、良い気分にはならないだろう。
それなら、俺からはわざわざ話さない方が良いのかもしれない。



「それにしても若いよね。
兄さんの兄さんくらいにしか見えないよ。」

「そうかもしれないな。」

「父さんとそんなに年も変わらないのに、父さん…更け過ぎ!」

「いや、父さんは普通なんだ。
あの人が、異常に若く見えるんだ。」

「まぁ、そうだけど…」

俺達は、他愛ない会話を交わしながら、帰りの道を歩いていた。



まだ心の整理が着いたわけではなかったが、なんとなく落ち着いてはいた。
高坂のことを父親だと感じる実感のようなものはまだない。
だが、友達としてならきっとうまくやれる…そんな気がした。



また近いうちに会おうという言葉も、いやではなかった。
俺ももっと話してみたい。
高坂という人物のことを、もっと深く知りたいという気持ちは確かにあった。
< 386 / 761 >

この作品をシェア

pagetop