赤い流れ星3
side シュウ




「あぁ、気持ち良いなぁ…」

川縁に立ち尽くし、カズが両手を大きく伸ばした。



「やっぱり天気が良いと、気持ち良いな。」

「そうだな。」

俺達は並んで河原に腰かけた。
ぼんやりと遠くを見るカズの瞳は何を見ているのだろう。



「カズさん、今頃どのあたりかなぁ…」

俺がそう言うと、カズは小さく笑った。



「お前、本当に懐いてるんだな。」

「なんだよ、懐いてるって犬みたいに…」

「だって、俺達が会う時にも勝手に来るし。」

「あんただって、ひかりちゃんを連れて来てたじゃないか。」

「それは妹だから紹介しといた方が良いかと思って…」

やはり、二人っきりでは気詰まりだったんだろうか?
俺が見に行ったのも、実はそういうことを考えてのことだった。
余計なおせっかいかなとは思いつつも、カズのことだ。
話しにくくて困ってるんじゃないかって思ったんだ。



「そういえば、あの人…これからも『カズさん』で通すつもりなのかな?」

「そりゃ、そうだろう。
俺達にとってはずっと『カズさん』だったからな。」

「なんだかややこしいな。」

カズはきっと照れくさいんだろう。
確かにややこしいが、今まで長い事『カズさん』と呼んでてだけに、急に変わっても呼びにくい。



「話は変わるんだけど…」

「なんだ?」

「みゆ…ひかりのこと、どう思う?」

「え?どうって……?」

カズは突然何を言い出すんだろう。
ひかりのことを言い出されると、どうも気持ちが動揺していけない。



「あれでも、あいつは良い年をした女だ。
他人から見て、女としての魅力はあるのかどうなのかと思ってな。」

「そういうことか…
可愛いと思うよ。
ただ、ひかりちゃんはあんたの妹だから、俺から見ても女というより身内みたいな感じがしてしまう。」

「やっぱり魅力はないか…
良い年をして彼氏もいないから、気になってるんだ。」

「魅力がないって言ってるわけじゃない。
それに……純平とはけっこう仲良くやってるみたいだぞ。」

なんだろう…
そう言ったら、心の中になんともいえない不快なものが渦巻いた。
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