赤い流れ星3
side 美幸
「……思った以上に混んでるな。」

兄さんの運転する車で、野々村さんとシュウさんの家を周って二人を拾い、みんなで映画館に向かった。
さすがに、話題のアニメだからか、映画館は満杯状態だった。



「指定席はないのか。」

「もう売り切れてたんだよ。」

「あ、あそこ、空いてますよ!」

野々村さんが、前の方を指さした。



「あ、あそこも…二つずつだから、別れて座ろう。
美幸たちは、あっちに行けよ。
俺と野々村さんは後ろで見るから…じゃあな!」

「え……」

兄さんと野々村さんは、さっさと移動を始めた。
どうして?二人ずつなら、私と野々村さん、シュウさんと兄さんで座れば良いんじゃないの?



「……行くぞ。」

「あ……」

突然、シュウさんに手を掴まれ、私はあたふたしながら着いて行った。



「とりあえず、座れて良かったな。」

「は、はい。」



話が続かない。
すぐ傍にシュウさんがいるから…なんだか恥ずかしいような気まずいような…



「あ、あの…ポップコーンか何か買って来ましょうか?」

二人っきりの気まずさを避けるために、私はそんなことを言ってみた。



「俺はいらないが、食べたいなら買って来ると良い。」

シュウさんは、そう言って私の前に財布を差し出す。
鋲がいっぱいついてて、ずっしりと重い財布だ。



「あ、そ、そんな…お金は…」

「いいから。
あ、そうだ。お茶を買って来てくれるか?」

「は、はい、わかりました。」
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